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- 家賃侍が不動産業界を斬る!第24回 不動産鑑定の役割を斬る!
第24回不動産鑑定の役割を斬る!
東日本大震災を受けて、自宅や店舗の資産価値を知りたいというニーズが高まりつつあります。しかし、不動産価格を個人で査定するのはほぼ不可能に近いというのが現実です。
そこで、不動産鑑定のプロフェッショナルである不動産鑑定士が鑑定評価基準に基づき、適正な不動産価格を算定する役割を担います。
不動産の鑑定評価は不動産鑑定士が行ないます。
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格であり、不動産の経済価値に関する高度専門家で、不動産鑑定士試験に合格し、定められた手順を経た後に国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録されます。
不動産鑑定士の独占業務は不動産の鑑定評価であり、不動産鑑定士以外の者が不動産の鑑定評価を行えば、刑事罰の対象となります。
不動産の鑑定評価とは、不動産の経済価値を判定し、それを貨幣額をもって表示することをいいます。
不動産鑑定評価基準においては、「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業に代表されるように、練達堪能な専門家によって初めて可能な仕事」と位置づけられており、『新・要説不動産鑑定評価基準』では、「一般の人々にとっては、不動産の適正な価格はいくらかということを取引価格等を通じて判断することは著しく困難であり、(中略)不動産鑑定士による適正な鑑定評価活動が必要となるものである」としています。
つまり、不動産の鑑定評価とは、一般の人々にとって適正な価格を求めることが困難である正常価格を求めることなのです。
不動産鑑定士に対する一般的な認知度は低いものの、その資格制度が土地等の適正な価格の形成に資することを目的として創設され、様々な不動産関連法においても、国土全体における均衡の取れた地価形成を保つという理念に基づく役割を付与されているため、その社会的責任は非常に重いものとなっています。
不動産鑑定士による仕事の成果物を、一般の人々が目にする機会は少ないですが、その数少ないものとして、国又は地方自治体によって、年に数回、公開される全国の土地価格一覧(地価公示等)が挙げられます。これらは、発表の翌日に新聞紙面等において数ページにわたって掲載され、一般の人々でも容易に見ることが出来ます。 これらの価格は、一般の土地取引において指標として「参考」にされ、また、課税・公共事業等において規準として適用されます。
近年では、不動産が賃料収入等の運用益を目的とした金融商品としての性質を強めていることもあり、資格の性質も金融的な分析手法を求められる金融分野に属する資格としての性質を内在させるものへと変わりつつあり、不動産の鑑定評価は、従来の公的評価や競売、担保、補償評価以外にも新たなステージに向かっているといえ、今後の不動産鑑定評価のニーズはますます多岐にわたるといえるでしょう。