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第5回 家賃保証を斬る!
「○○年家賃保証」
「長期一括借り上げ」
以前からテレビコマーシャルなどでよく耳にしたこのキーフレーズ。
ハウスメーカが中心となって、土地の有効活用を考えている地主さんに対して、アパート・マンションなどの賃貸経営を勧める。このときに地主さんが問題とするのは、「空室が増えて、家賃収入が入ってこなかったらどうしよう?」などといった部分。
そのような地主さんが抱えている問題点を解消し、リスクが少なく、節税対策などのメリット面を大きく打ち出しているプランが「家賃保証・長期一括借り上げシステム」です。
しかし、この「家賃保証・長期一括借り上げシステム」の抱えている問題点が、新聞や雑誌で最近取り立たされています。
2008年2月9日発行の「週刊ダイヤモンド・特大号」にもそれに関連した記事が掲載されていました。
内容を要約しますと…
賃貸マンションのオーナー業を10年以上続けているAさん。
Aさんは、一定の会費を共済会に支払っていた。これによって空室が生まれても基準賃料の90%を共済会が保証するシステムになっていた。しかし、改正保険法の影響で、共済会が某社の管理会社に吸収合併され、解散となった。そして、その管理会社が新たに提案した制度を受け入れると、新規の契約者から賃料が下がり、収支が悪化してしまうという。
また、複数の空室を抱えているBさんの不満はこうである。
「家賃を下げないと一括借り上げに応じない」と言われたことだけではない。契約時に営業マンがバラ色の収支計画で説得したそうだ。
そもそも、「一括賃貸借契約約款」には、「再募集開始後、経済・社会情勢の変動等で、本件建物に不動産賃貸市場の影響が及んだ場合、某社からオーナーへの借上賃料の支払い債務は消滅する」などが書かれている。
このように家賃保証制度の「保証」はかなり不透明で、企業の都合でオーナーに大幅な賃料引き下げをのませることも容易ではないか。そして、近年、賃貸住宅の着工数は増えているが、少子高齢化により、この市場の需要は確実に減少傾向にあるという。
「賃貸経営を成功させるには、一定水準の入居率と家賃。さらには、競合物件に勝つための維持・補修コストが欠かせない。このうち一つでも欠ければ悪循環に陥る」とのこと。
このような記事を読むと、オーナーにかなり酷な話だなあと思う。
私自身も以前は不動産業界にいた身。その時に教わった言葉が「不動産業界は、センミツの世界である」ということ。つまり、千に三つしか本当のことがないという意味。今は、そんなことはないと思いますが、不動産のプロに一般の人が対抗するには、いかにその業界のことを知っているかに尽きるのではないでしょうか。
当然、家賃保証のシステムを採用している企業もたくさんあるわけで、その中にも親身になってくれる企業が必ずあるはずです。その企業に巡り合うためにも、日頃から常にアンテナを張っておくことが必要ですね。