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- 家賃侍が不動産業界を斬る!第4回 借地借家法を斬る!
第4回 借地借家法を斬る!
借地借家法は皆さん良くご存じのことと思います。
しかし、借地借家法をめぐり幾度か法改正などもなされていますので、この機会に改めておさらいしてみてはいかがでしょうか。
そもそも借地借家法とはどんな背景によってできたのでしょう。
民法では“契約の自由”を認めていますが、賃貸借契約において、一般に立場の弱い借主に不利な契約になりがち。そこで、借主と貸主の力関係のバランスをとるために規定されたのが、借地借家法でした。
ところが、もともと力関係のバランスをとるためのものであったはずが、借主保護へと傾きすぎてしまったために、地主さん達が貸し渋りはじめ、適切な土地の供給が維持できなくなってしまいました。ただでさえ国土の小さい日本のこと、土地があるのに貸してもらえない!ということでは困ってしまいますよね。
そこで、定期借家権制度の導入など、何とか貸主と借主のバランスをとれるようにと、現在も改正を繰り返しながら少しずつ変化してきています。
まず、そもそもの借地借家法は、どのように借主を保護しているかというと、
- 自己の権利を比較的容易に主張できる
- 借主に不利な特約は無効(逆に借主に有利な特約は有効)
- 契約が容易に終了できない
などです。
【1】については、例えば、借主が賃料の値上げを断ったからという理由でその物件を売買し、それを取得した新所有者が、立ち退きを迫ることができるのが民法の規定。
借地借家法では、建物について借主所有の登記をしたり、建物に居住していたりすると、新所有者に対して借地権や借家権を主張することができます。
【2】のように、契約書に定めていても、明らかに借主に不利と思われるものは無効とされています。
ただし契約の内容にもよりますから、弁護士さんにご相談を。
【3】は、貸主側からは簡単に契約を終了できないようになっています。
民法では、契約を更新するかどうかは、借主・貸主次第。
ところが、借地借家法では、貸主が更新拒否をなかなかできないように、規定を定めているのです。
例えば、貸主が更新拒絶ができるのは、(注:借地借家法28条)、
- 建物賃貸人及び賃借人が建物を必要とする事情
- 建物の賃貸借に関するこれまでの経過
- 建物の利用状況
- 建物の老朽化状態
- 立退き料を支払う(あくまでもサブ的にではありますが)、などとされています。
これ以外にも、貸主が更新拒絶をしづらいような、いくつかの取り決めがあります。
皆さんはどう思いますか?立ち退き料をくれるなら移転してもいい?中にはゴネればゴネるだけ高額な立ち退き料をもらえるのでは・・・など、立ち退き料をめぐるトラブルや、その他にも過度な借主保護によって、適切な取引までもが制限されるようになりました。
その結果、貸し渋る地主さんが増え市場に物件が出回らなくなってしまったことから、「もう一度、借主と貸主のバランスを取らなければ」ということで導入されたのが“定期借家権制度”というものです。
この定期借家権制度、事業用の賃貸物件をお持ちの企業様にとっては、切っても切り離せない大事な制度ですから、この機会に是非おさらいをしてみて下さい。